民法の規定「売主の担保責任」
「売主の担保責任」とは?
売買の目的物に欠陥等があった場合に、売主が買主に対して追う責任のことです。
「売主の担保責任」には6種類あります。
- 全部他人物
- 一部他人物
- 数量不足
- 用益権が付着
- 担保権が付着
- 隠れた瑕疵
その全てが、
売主に故意や過失がなくても負担しなければならない責任=無過失責任となります。
ただし、相手方に悪意があれば話は変わってきます。
この辺りの問題が出ます。
- 全ての責任が売主にあるのか。
- 相手方に悪意が合った場合、売主はどこまで担保責任を負えばいいのか。
そこで、この語呂合わせを使用します。
【全解一代抵解損】(ぜんかいいちだいていかいそんっ!)
(悪意でも担保責任を追及できる場合のみに適用)
何かの呪文のようですね。
- 全部他人物の売買→解除
- 一部他人物の売買→代金減額請求
- 抵当権等が実行された場合→契約の解除・損害賠償請求
Aを売主、Bを買主とする甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合の売主の担保責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、BはAに対して、損害賠償を請求することができない。
- Bが、甲土地がCの所有物であることを知りながら本件契約を締結した場合、Aが甲土地の所有権を取得してBに移転することができないときは、Bは、本件契約を解除することができる。
- Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い損害を受けたとしても、BはAに対して、損害賠償を請求することができない。
- Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失ったときは、Bは、本件契約を解除することができる。
解説
1.正しい○
A売主 B買主(Cの所有物であることを知っていた=悪意)
・全部他人物の売買→解除
Bは、契約の解除はできるが、損害賠償を請求することはできない。
2. 正しい○
A売主 B買主(Cの所有物であることを知っていた=悪意)
・全部他人物の売買→解除
Bは、損害賠償を請求することはできないが、契約の解除はできる。
3. 誤り×
A売主 B買主(A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知っていた=悪意)
・抵当権等が実行された場合→契約の解除・損害賠償請求
Bは、損害賠償を請求することもでき、契約の解除もできる。
4. 正しい○
A売主 B買主(A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知っていた=悪意)
・全部他人物の売買→解除
Bは、損害賠償を請求することもでき、契約の解除もできる。
複雑な問題なので、語呂合わせを使って整理すると分かり易いですね。
Bの買主側の視点からではなく、Aの売主からの視点でまとめてみました。
Bの買主側の視点からですと、Bの買主の期待もあるのです。
Cの所有物であることを知っていたが、A売主がなんとかしてくれるかもしれない。
A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知っていたが、A売主がなんとかしてくれるかもしれない。
また、B買主の損害をAは責任を負わなければなりません。
民法では、規定及び判例でこのようになっています。
最初は『???』かも知れませんが、徐々に分かってきます。
はまらず、どんどん先に進んで下さい。
民法は【深入り禁物】です!